理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.034

『ME/CFS』

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いよいよ全国的に梅雨入りをした模様です。先日も北関東ではとんでもない大きさの雹が降ったようですが、今年もまた不安定な気象状況から大災害を引き起こすような大雨が降ることもありそうな予感が致します。真夏に向けて電気も不足しそうですし、選挙が終われば否が応でも原発再稼働に舵を切らせるのでしょうか。

止まりそうもない円安に、海外からのインバウンドが大挙して来そうな予感もありますが、団体旅行なら入国OKという政府の方針も今一つピリッとせず、新型コロナの行く末も相変わらず不透明なままでございます。その新型コロナの後遺症について今回は呟いてみようかと思っております。

オミクロン株以降世界中でも重症化するケースはかなり減ってきており、それに伴って中国と日本以外の国々はマスクもしないで以前のような日常生活に戻っている様相です。しかし以前から存在する感染後の後遺症で、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(Myalgic Encephalomyelitis:ME / Chronic Fatigue syndrome:CFS)が注目をされております。

ME/CFSとはこれまで普通に健康的に日常生活を送っていた人が、ある日突然原因不明の激しい全身倦怠感に襲われて、その後強度の疲労感と共に、微熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、脱力感、思考力の障害、抑うつ症状などが長期にわたって継続することで、それまで可能であった健全な社会生活を送ることが不可能になってしまう疾患です。今現在では明らかな発症要因は判明しておらず、根治的な治療法も確立していません。

CFSに関しては個人的に思うところがありまして、実は30年位前にこの疾患の事を少しばかりかじったことがあるのでございます。その当時私は大学病院の研修医でございましたが、私が所属していた医局では医局会の後に医局員が何かテーマを持ち出して、医局の先生方の前で簡単な発表のようなことをさせられる苦行のようなルーチンワークがあったのでございます。

ベテランの先生方は自分の研究されている専門分野についてサラッとお話をすればそれでおしまいとなるのですが、医者になりたての右も左もまだよくわかっていない研修医が教授以下お偉い先生方の前で何か話をするなんて、出来る事なら自分の順番の日には、突然の親族の不幸か何かで飛ばしてほしいと願うような仕事の一つでした。中には英語の論文を引っ張り出して抄読会のようなことをしてみたり、自身の受け持った症例を持ち出して症例報告をしてみたり、とにかく必死でその時間をやり過ごす研修医たちでした。

そこでいよいよ私の番が来た時に、本当に何をしようか悩みに悩んでいた時たまたま出くわした疾患がCFSでして、当時はまだ医師の間でもあまり知られておらず、その疾患の存在そのものも怪しいと思われていたようなレベルでしたので、とにかく物珍しさの一点張りでこの疾患についてのお話をさせて頂いたのでよく覚えているのであります。勿論何が原因でそのような症状に至るのか当時は諸説あり、確かに感染症の後に出現する可能性も示唆されていましたが明らかなものではありませんでした。

とにかくその症状は我々精神科医が日々臨床現場で対応する“うつ病”の症状とオーバーラップする部分が多かったので、うつ病との鑑別についてその発表の場では必死で解説をしたことが懐かしく思えます。また当時にはMEという疾患と一緒にとらえることはなく、難治性のうつ病の一つでは?と思われてしまうようなこともありました。1990年代に我が国でも研究班を設置したのですがその後10年近く経っても原因解明も出来ず、治療法も見つけられず、遂に研究班も解散させられて世間からも注目されない疾患として存在していたのです。

今回新型コロナに感染した後の後遺症として注目をされているのですが、感染者全員が発症をするわけではなく、ごく一部の人に発症をしていることからまだ感染してそれがどのような流れでこの疾患に至るものなのかはっきり解明はされていません。取り敢えず確定診断を行えることが、疾病の発症の機序にも辿り着けるものでしょうからそのあたりの研究結果を待つしかありません。今のところは免疫系のB細胞受容体に着目した研究が主流のようですが・・・。

そこで今後の問題としてこの疾患が新型コロナの感染による後遺症であるとなったときに、感染の自覚症状が無い不顕性感染者にこの後遺症が出現したときがややこしい話になるのであります。つまり何の前触れもなくME/CFSの症状が出現した場合、その症状だけではこの診断に辿り着くことが大変困難なことになるわけであります。

発症前に新型コロナに感染していたという既往歴が明確であれば、ひょっとして『あの疾患』かもしれない・・・、となるのですが前駆症状や既往歴が本人に自覚がないと今の医学ではすぐにこの疾患の特定に辿り着くには、かなりの時間を要する可能性もあるという事です。

実際それまでは何の問題もなく普通に学校へ通学していたり、通勤して仕事も問題なくこなせていたりした人が、ある日突然家から外出する事すら不可能な状態になってしまうケースも珍しくないわけですから、これは確定診断の方法と根治出来る治療法の解明が少しでも早く見つかって欲しいと願うばかりです。withコロナからafterコロナへと世界中が徐々に落ち着きを取り戻しつつある中で、皆が日々の生活を本当に安心して送れるようになるにはまだまだ時間を要するようです。

 

 

「慢性疲労症候群」なんて名前だけ聞くと、それは正に誰かの日々の生活そのものの事でしょう!!と言われそうな気もしなくもなく・・・。

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