理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.035

発毛薬と宝クジ

遂に我が国でも男子型脱毛症における経口薬であるフィナステリド(アメリカでの商品名はプロペシア)が発売になりそうです。早ければ11月中に出るようですが、これはマツキヨあたりでいつでも買えるような市販薬(OTC)ではなく、しかるべき所で、しかるべき診察を受けて、医師から処方してもらう。しかも保険は利かない薬(つまりEDの治療薬なんかと同じ扱いです)としての登場です。

リアップも発売当初は薬局に長蛇の列を作り、「お一人様1本限定!」とか「購入にあたり整理券配布!」なんて状況でしたが、今そんな思いをしてリアップを買っている人はまずいらっしゃらないと思います。それはつまるところリアップ発売当初は皆がその効果・効能に過剰な期待を寄せてしまったからですよね。「こ、こ、こ、これさえ使えば波平さんだってマスオさんに戻れるんだ!」などといった過剰な期待です。しかしそれは全くの妄想であったことが発売後の数年で明白となり、今では世のオジサマ方には見向きもされなくなったため、中身は全く同じで、パッケージだけ変えて“リアップレディー”という“性転換手術”
を受けてしまいました。そしてこの傾向は他の育毛剤にも認められつつあり、世のオバサマ方への攻勢が一段と激しくなってきました。(思ったほど売れてないようですけど・・・)

ところで以前から感じていた事ですが、「発毛剤」(育毛剤でも養毛剤でもま〜何でも一緒なんですけど・・・)を買う心理状態は「宝くじ」を買う心理状態に酷似していませんか?と言う御提案です。つまり、「やっぱり使ってみないと効果は実感できないしな〜⇒でも周囲にこれでフサフサになった人など見た事も聞いた事もないけど〜⇒いやひょっとしたら自分だけは生えるかもしれないかも〜⇒結局今回の商品はダメだったけど次に良い物が出るに違いない!」。これって、「やっぱり買ってみないと当たらないしな〜⇒でも周囲に前後賞あわせて3億円当たった人など見た事も聞いた事もないけど〜⇒いやひょっとすると自分だけは当たるかもしれないかも〜⇒結局サマージャンボはダメだったけどオータムジャンボは当たるに違いない!」。どうです、同じでしょう。

そんな所に内服薬(我が国でもプロペシアの名前での発売?)の登場です。そりゃ〜リアップが出た時なんて比べものにならない位の大騒ぎになるに違いありません。ここに断言いたします!「今度こそオレだって・・・」と、期待に胸を膨らませ、既に頭の中では髪だけは林家ぺー、パー子状態になってしまっている方も出てくるでしょう。マスコミ(特に月曜発売の週刊誌やタイトルがオレンジ色の夕刊紙あたり)だって黙っちゃ〜いません。「遂に上陸、アメリカから飲む発毛剤!」「今までの外用剤には裏切られ続け、騙され続けたあなたにも朗報!きっと復活の日がやってくるぅぅぅ〜〜〜」なんて感じですかね。

ところがであります。今回我が国で認可を受けるこの薬は『発毛の薬』ではなく、男性型脱毛の『進行抑制の薬』としての認可であるそうです。要するにお上の方も確実に後退した頭を、あの若かりし頃に蘇らせる薬とは思っていない(認めていない)ということのようです。確かに、どこからが薄毛で、どれだけが発毛か、といったものにおける医学的に明確な定義は存在しません。我がクリニックにおける診療の中で、何をもって改善したか、何をもって発毛したかを医学的にどう評価するかで日々悪戦苦闘しているわけです。お上がちゃ〜んと認めた「飲む発毛剤」を飲んでもち〜っとも思ったように生えてこないじゃね〜か!といった苦情を毎日何件も受けるほど厚生労働省もそんなに暇ではないと思います。よっぽどリアップの時で懲りたのでしょうね。うかつに“発毛”なんて言葉を認めてはいけないと薬事担当者の引き継ぎ時の申し送り事項のひとつになっているのでしょう、きっと。

ただ現場で治療を行っている人間から言わせていただければ、御安心ください、この薬には『発毛』をさせるポテンシャルは確実に持っています。しかしこれが“
万人に同様の効果を示してくれない事”が発毛医療の一番の難点なのです。そこで当クリニックではその難問を解決すべく、プロペシア以外の薬剤も治療に導入をしている次第でございます。ま〜これから髪の毛をめぐる業界は暫く喧騒が続きそうですな・・・。

おっと、こちとら世間の喧騒よりも家庭の喧騒の方がなんてったって一番の懸案事項でございます、な〜んていつものことですけど。

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