理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.096

うつで休職

東京の桜はすっかり散ってしまいました。台風のような春の嵐も今年は“しかと体験”(よりによって娘の小学校入学式当日だぁこれが!)させていただきました。読者の皆様が日本全国にどこに、どの程度いらっしゃるかは想像もつきませんが、現在は如何な春をお過ごしでしょうか?

我が国の暦の関係から、この3月〜4月にかけては、どうしても異動や移動を伴った環境の変化が身に降りかかる方が多い季節であり、それに影響した精神症状の変化を呈する方も、臨床上1年の中で多く見受ける季節となります。

先ごろ人事院による平成18年度の国家公務員の長期病休者実態調査の結果報告がありました。ちなみに“長期”とは1ヶ月以上のことだそうですが、その原因の1位は「精神及び行動の障害」で、これが全長期病休者の63%にあたるそうなんです。

これを長期病休者率(対象職員に占める長期病休者の割合)でみると1.28%で、前回調査0.46%の約3倍に増加した模様です。ちなみに地方公務員の「精神及び行動の障害」の長期病休者率は0.97%(平成18年度地方公務員健康状況調査)なのだそうですが、国民一般の「精神及び行動の障害」の率(調査日当日に病院等で受療した15〜64歳の推計総患者数を同年齢の推計人口で除した率)では、ナ、ナ、ナントと!2.02%(平成17年厚生労働省患者調査)もあるのでございます。

つまりこの2.02%とは、もちろん国民である国家・地方公務員の方々も含めての統計ですから、上記の結果から勘案すれば(国民一般からこれらの公務員を除けば)、公務員と民間との差はもっと大きくなるであろうことは自明なわけです。これでもって公務員の方々に天下りなど何回もされてしまった日にゃ〜、おい。民主党さんもこの辺りを国会で追及してもらわないと困ります。まあ、こんな解析をするのは私ぐらいでしょうけど・・・。

私も2年ばかり地方公務員になっていた(県立病院に勤務していた)ことがございます。確かに民間病院よりはマッタリ感と言いますか、正直ユルイ感じはありました。皆さんご存知かどうかわかりませんが、精神科の入院病床は他の身体科の入院と違って、様々な検査や、切った貼ったがあるわけではないので病院側としては非常に収益に乏しい病棟です。しかもどこも平均在院日数は身体科と比して飛びぬけて長い。つまりベットの回転率が非常に悪い!

某大学病院などは特定機能病院(その認定には入院平均在院日数が決められている)のお墨付きを維持するために、精神科では入院した日に退院(転院)する日を決められてしまうそうです。つまり精神科病床とは大学病院が特定機能病院であり続けることの足を大きく引っ張る“お荷物病床”とみなされているわけです。しかしこれでは精神医療としてのきちんと十分な治療を提供などできるはずがありません。

絶対世の中に必要なのだけれど、なかなか収益につながりにくい医療の代表として精神科は存在しており、やはりそこは国や地方自治体が多少の赤字は覚悟の上できちんとフォローをしてもらわないと我が国の精神医療はとんでもないことになります。

そういった意味でのあのマッタリ感はそれなりに精神科の医療としては必要であったと思いますが、今ではその病院も先述のお役人達から収益を上げるように四方八方からつつかれて、何となく世知辛い精神医療になっていきつつあるような噂も耳にしました。マッタリ、ユッタリが絶対必要な医療なんですけどね〜。

私は決して公務員の皆さんが全員仕事をしていないと言っているわけではございません。でも昨今の社会保険庁の年金の問題やら、今月1日から施行された後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に関する保険証発送の手際などを垣間見ても「もう少しあんた達どうにかならんか!」と言いたくもなるのは私だけでしょうか?

公的機関で働く人がいなくなってしまえば国は機能しなくなります。絶対必要な方々なのであります。諸外国と対等に渡り合わねばならない職務もあれば、町の中で地域住民との関係から自治を良くしていく職務もあります。もちろん教育機関であったり、安全を守ってくれる機関であったり、命を救う機関にも当然公務員は存在しておられます。であるからこそ、「もう少しあんた達どうにかならんか!」

 

「亭主元気で留守がいい」これって夫の“平均在宅時間”が短いほどいいってことですよね・・・。

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