理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.134

嘱託の精神科医

さあ今年も残すところあと1ヵ月です。新型と言われるインフルエンザは、我が国では20歳未満の方々の発症が80%を占めているようで、特に5歳から14歳の人口の半数は既に感染をしているとのことです。やはり人生長生きをしていると色々なモノに揉まれてきているからなのでしょうか、50歳以上では何と1%未満の感染率との報告がありました。

コラム読者の皆様方の年代がどのような分布なのか詳細は不明ですが、20歳未満の方が読まれている確率はかなり低いと思われますので、きっと読者の大多数はお元気にお過ごしのことと信じております。達者でお過ごしですかぁ〜〜〜。

さて前回のこのコラムのタイトルに関しまして一言申し述べます。前回「必殺仕分け人」なるタイトルでコラムを書かせていただいたのでございますが、私自身としては何かを引用した経緯は微塵もなく、全くのオリジナルでしてむしろこの命名には正直一人で悦に入っておりました。

そうしたところ出てくるは出てくるは、新聞、雑誌、テレビにと、見事に日本中がこの表現一色と相成りました。私を含めまして世の凡人レベルではこんな発想が関の山であったようです(笑)。肝心の会議そのものは一応終了した模様ですが、あれが最終決定ではないわけでして、国民としてはあれが単なる民主党のパフォーマンスで終わらないように、予算確定まで国政に厳しい目を向けていなくてはいけません。

以前このコラムでも申し上げたかもしれませんが、実は私自身当クリニックが休診をしている曜日に、某企業の社員の方々のメンタルヘルス医療を嘱託で担当しております。これには「産業医」なるもののご説明を行わないといけませんのでその辺りを少々解説させていただきます。

産業医とは、事業場において労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、専門的立場から指導・助言(産業保健の理念や労働衛生に関する専門的知識に精通し労働者の健康障害を予防するのみならず、心身の健康を保持増進することを目指した活動を遂行する任務)を行う医師とされております。

その昔我が国が業務体系を、今となっては死語になりつつある“ブルーカラー”と“ホワイトカラー”に二分していた頃のお話になります。そして圧倒的にそのブルーカラーが多くを占めていた昭和の高度成長時代、つまり職場環境が原因でそこで就労する社員に健康被害が多発していた時代に、「そこのところは医学的な見地からきちんと従業員をサポートしましょうよ」という意味合いから厳しく制定された分野と思っていただいてよろしいかと思われます。

そして産業医は「嘱託産業医」と「専属産業医」に二分されます。まず労働者が常時50人未満の事業所では産業医の選任義務はありません。今の時代これもどうかと正直首をかしげたくなりますが・・・。そして常時1000人以上の労働者が働く事業場または有害業務(細かな取り決めがありますが今回は省略)に常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、専属(いわゆるその事業所に常勤するという意味になります)の産業医を選任しなくてはなりません。また、常時3000人以上の労働者が働く事業場では2名以上の専属産業医を選任が必要とされています。

専属産業医を選任しなくてもよい事業場(50人以上999人以下)では嘱託産業医(わが国の産業医は大部分が嘱託産業医であり、一般的には事業場の近くの開業医や勤務医が日常診療の傍ら産業医の業務を担っている場合が多い)を1名選任することになっています。

そこで私が嘱託で行っている企業とは名前を出せば多くの方々が「は〜は〜あそこですか」と、ご存じの大手の企業ですから専属産業医の先生方はちゃんと勤務をされておられます。しかも我が国の同規模の企業とは比べ物にならない人数の専属産業医の先生が従事されていらっしゃいます。現法で言うと裏を返せば3000人をいくら超えても専属産業医は2名で良いわけですから、専属産業医の数とはその企業の従業員に対しての良心によると言っても過言ではありませんよね。

しかもそれだけの専属産業医を抱えていながらなおかつ、昨今の労働者におけるメンタルヘルスの管理の位置づけが重要視されるようになり始める10年以上も前から、この企業は専門の精神科医の必要性を企業側に訴えて産業医とは別に嘱託医の契約をされているのです。私は前任からバトンタッチをして10年近く勤務させていただいております。

この企業理念に関しては一精神科医としては本当に頭が下がる思いであり、我が国の多くの企業もこのような対応をしてくれれば、年間30000人を超える自殺者の軽減にもきっと役立てるはずだと思う次第です。しかしこの不況下の中、霞が関に対してだけでなく企業内にも「必殺仕分け人」はいたるところに出没しているようですから、この様な立場の医者には企業内に蓮舫さんあたりが乗りこまれてきた日にゃ〜

「どうしてこんな嘱託医との契約が必要なんですか?」

「専属産業医がこれだけいて、なおかつこの様な精神科医は必要でしょうか?」

「何かあれば地域のクリニックに割り振ればそれで事は足りるんではないですか?」

「この精神科医の存在が必要である理由を具体的にその成果としてわかりやすく数値で示して下さい!」

なんてやり込められて私の首の皮も真皮どころか表皮一枚の状況なのかもしれません・・・。

 

これを嘱託契約の企業の総務または人事担当の方が読まれたら・・・。まさに「寝た子を起こす」なんてことになりませんように!

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