理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.322

今年の1文字

DRkobayashi1
本当に早いもので2017年もこれが最後のコラムとなりました。ラニーニャ現象の影響もあってか、全国的に例年よりも寒い冬となっているようです。年末に向けましての慌ただしい中でも、コラム読者の皆様に於かれましてはお変わりなくお過ごしのことと存じます。

流行語大賞と同じくその年を代弁する「漢字一文字」が先日清水寺から発信をされました。でもって、その一文字とは『北』となっておりました。正直私はこの漢字にあまりピンとこなかったのですが、北にまつわる色々な“こじつけ”が並べられてはおりましたが、あえて自分で考えると今年は『虚』あたりの言葉が適当のような気がしておりましたが・・・。

トランプさんの言っていることや、やっていることは“実現”出来るとは到底思えませんし、隣のロケットマンのすることは国交を改善するために“現実”的な方法とは言えません。流行語大賞の「忖度」だって意味としては “表”に出ないことですし、「インスタ映え」だって映りをよくするために“自然”なものではなくなっていることも多々あります。

今年1年を通じてマスコミが追いかけまわした「一線を越えるの、越えないの」だって“正当”ではない男女のお話でしょう。年末になって騒ぎ立てる相撲協会のゴタゴタも、モンゴルグループの取り組みがあまりにも“ガチンコ”ではないから貴乃花親方が協会に反旗を振りかざしているわけですよね。

つまるところ全てが本当ではない『虚』なわけですから、私的にはこれが今年の漢字一文字とさせて頂きました。さて皆さんは今年を代表する漢字一文字となりますとどのようなものになりますでしょうか?

そこで私の今年1年を振り返ってみますと、生活の柱となります日々の診療が『虚』という事になりますと、これはもう完全にアウト!になってしまいます。ただこれは全ての患者さんに申し上げていることですが、「常に100点満点を頂けるような診療を目指してはおりますが、全てにおいて完ぺきな医療は存在しない以上、不本意ながらご期待に添えないところもあるかもしれません」と。

何か言い訳めいた感も無きにしも非ずではありますが、“ある事とない事”、“出来る事と出来ない事”、“実と虚”をはっきりとさせておくことは臨床の現場では絶対に必要な事だと常々思っております。

クリニックの門を叩いて入ってこられる全ての患者さんは、何某かの問題や悩みや苦しみを抱えて入ってこられることは重々承知をしておりますし、それを解決することが私達の生業であることも忘れたことはございません。

ただどこかのテレビドラマの女医さんみたいに、思いっ切り上目遣いで「私、絶対に失敗しないので!」と啖呵を切れるほどのスーパードクターではないのも紛れもない事実であります。嘘でもいいから1回くらい言ってみたいものですが、先程から言うように『虚』はダメダメですよね。(笑)

今後我々医療の現場にもAIなるものがどんどんと幅を利かせてくることは明らかであります。例えば内視鏡の画像診断において、これまでは経験を積んだ熟練医師が少しでも異常な部分を嗅ぎ分けて診断を下していたのですが、これからは過去の異常部位の膨大なデータを基にして、今現在そこにある画像との比較をAIが瞬時に行って異常部位を診断することは可能になってきています。

つまりそこには画像診断における名医は必要なくなってしまうという事なのであります。どうしても人のすることですからあってはいけない医療の世界とは言え、弘法も筆の誤りだったり、猿も木から落ちることもあったりするわけで、その部分での『虚』が限りなくゼロに近づくことは患者さんにとっては非常に重要な事であります。

診断の後には当然治療が待っているのですが、これからは今でいうスーパーコンピューター並みのスペックのPCがどこにでも普通に設置されて、そこには患者さん一人一人の全てのゲノム情報が登録されており、様々な検査結果を入力しその人の遺伝子情報に最も的確な薬剤をこれまた瞬時に決定をすることで、その患者さんに最も適切な薬剤を処方可能となる日もそう遠くはないはずです。

そうなれば卒後1年の研修医と百戦錬磨のベテラン教授が同じ土俵で臨床の場に立てるという事になります。いやぁ~、そうなるとあとは差をつけられるのは手術といった経験と技術を要するものしかないのか?

いえいえそれだって医療ロボットが発達すれば先述のドラマの女医さん以上に“失敗をしない腕”を発揮してしまう日がきっと来るでしょう。こうして益々医療の現場からは『虚』の部分が無くなっていきます。つまり今ほど医者の数は必要なくなると言っても過言ではないでしょう。そして私も遂に転職を余儀なくされ、場末の厨房でパスタを茹でる毎日が・・・。

でもやっぱり思うのですけれど、臨床の現場とは最後の最後にはどうしても『人対人』になりませんでしょうか?そこにはAIでは対応しきれない部分が絶対に残ると信じて、これからの日々の診療に磨きをかけるべく研鑽を積んでいく所存でございます。

今年も拙コラムを最後までご愛読いただきました事に感謝を申し上げ、2018年の診療がよりステップアップ出来るように精進することをお約束して、2017年の最後の言葉とさせて頂きます!どうぞ良いお年をお迎えください。

 

 

私生活における『虚2017』はとてもとてもこのスペースでは書ききれませんので(=正確には公表不可能)どうぞご容赦ください

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