理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.262

サプライズ

小林一広


全国的に(北海道以外は)入梅致しました(沖縄の皆様は既に梅雨明けだそうです)が、コラム読者の皆様方はその後もお変わりなくご清祥の事とお慶び申し上げます。

それでは最初に業務連絡でございます。毎週金曜日の17:30~19:00に松屋銀座の屋上にございます“ソラトニワ銀座”からお送りしておりましたインターネットラジオ番組『ドクトル・コバの銀座の奥義』が、今月26日の放送をもちまして終了させて頂く運びと相成りました。(19日の金曜日は博多クリニックでの診療のための出張にて番組はお休みですから本当に26日のあと1回のみです!)

2013年7月にこのソラトニワ銀座というプロジェクト(現在は銀座だけでなく原宿と梅田でも継続中)がスタートし、そのオープニングから3年間で主に銀座に所縁のある方々を中心に106名のゲストをお迎えし、通算で4名のアシスタントの方と一緒に本当に様々な分野、業界の皆様にお会いすることが出来て自分自身としましては本当に貴重な経験をさせて頂きました。

この場をお借りいたしまして数多くのゲストの皆様、番組の制作関係者の皆様、果たしてどれ位の方が聞いてくれていたのかは不明ですがかなりマニアックな(笑)リスナーの方々、そしてこんな私の“道楽”に3年間もスポンサーとなって頂けましたアンファー(株)様、最後にこの3年間金曜日の午後は私の予約が取れなかったクリニックの患者の皆様、に心より御礼ならびにお詫びを申し上げます。

このような突然の発表というものは一応サプライズとして扱っていただけるのかと思うのですが、サプライズというものは突然に突拍子もないことだからビックリするわけでして、これが「オオカミ少年」のようになってしまうと全くそのインパクトを無くしてしまいます。

先日中学2年の娘の学校で、3泊4日の高原教室なる行事(中2なり自我の目覚めあたりでやや扱い辛くなった連中を集団宿泊の名のもとに学校側がちょいと引き締めにかけるための行事ではなかろうかと私は思っておるのですが・・・)でのサプライズとして『親からの手紙』が各生徒に予告なく手渡されたそうです。

勿論親達にはそのことは連絡済で、事前に私も用意した(させられた)手紙を担任の先生に娘達には隠密裏に提出し、現地で「ハイ!ど~~~~ぞ」と一斉に彼女達に手渡されたとの事です。帰宅後の娘にその時にどのようなことが起こったのかを尋ねたところ、ほぼ全員の生徒が泣いてしまったというのであります。

まあおそらく誰か一人が感極まって泣き出し、それに連鎖した軽度の“集団ヒステリー”のような状態になったものと場末の精神科医は類推するのですが、捉え方によっては親からのサプライズなお手紙に素直に感動してくれているのなら、まあ心温まる良いお話とも言えるかもしれません。

そこで最近、未成年者同士による殺人事件が全国で連日のように報道され、人の命をあまりにも軽く扱く未成年者達に、何かあまりビックリしたり動揺したりする気持ちが薄れてきてしまい、そのような事件に「あ~~またか・・・」とサプライズすることなく慣れのような感じを抱きつつある今日この頃でした。

そこに先日1997年に起きた『神戸連続児童殺傷事件』の当事者である“酒鬼薔薇聖斗”の手記が本として発売されるということを知り正直ビックリしております。当時の事件こそはまさに超サプライズなものでありましたが、正直時の流れとともに徐々に良くも悪くも「そんな事件もあったよね~」と風化しつつ時が過ぎていたように思うのですが、ここにきて事件当事者の手記ですからウルトラサプライズであります。

それにしても被害者の遺族の皆様たちからすれば、これは本当に筆舌に尽くしがたい事件であり、忘れたくても忘れることのできない事件であろうかと思います。確かに表現の自由や出版の規制は悪戯に制限を受けてはいけないものだと思いますが、私にはこの件に限って言わせて頂くと、法律なんか以前に人として行っても良いことと悪いことを問う最低限のレベルのお話のような気がしてなりません。

そこでもし遺族側がこの本の内容如何によって、名誉棄損等で著者を訴えたりするようなことにでもなれば、筆者である酒鬼薔薇聖斗氏は法廷に出廷しなければならなくなるのです。そのようなことになる事態を本人はきちんと覚悟してこの本を執筆したのか、また出版社もそうなった場合の対応まできちんと考慮したうえで販売することに決断を下したのか、果たして如何なものでしょうか。

この本の登場が兎にも角にもこの事件に係わった方々やご遺族の皆様の心の傷を再びえぐるようなことにならない事だけを祈るばかりです。私はこの書籍を読む気はありませんし、内容を知りたいとも思いません。

これからの世の中は人が喜んだり楽しんだりできるサプライズが少しでも多くなり、悲しんだり辛い思いをしたりするサプライズは少しでも減っていって欲しいと心から願う次第です。

 

 

帰宅後の娘は父親の手紙についての感想を未だに語ってくれておりません・・・(汗)。

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