理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.242

未成年の事件簿

小林一広


やっと梅雨明けをしたものの、連日の猛暑に8月になる前からもう既に夏バテをされてしまった方もいらっしゃるのではないかといった空模様です。先日は国内なら沖縄のほうが涼しいという温度差を認めたこともあり、「夏休みはチョット沖縄に“避暑”に行ってきま~す」が冗談ではなくなりそうな今日この頃です。コラム読者の皆様方はその後もお元気にお過ごしでしょうか?

今や番組内容ではジリ貧となり、定期的にご近所のイベントで日銭を稼がないといけなくなっているお台場のテレビ局による夏の恒例番組も、SMAPは年齢的に(体力的に)27時間は正直もたないことを明らかに露呈しただけに終わったようです。他局の24時間ものと、さてどちらが先に番組としてのフィナーレを迎えるのか微妙な感もある真夏のアンチ節電番組たちです。

そんな中で月半ばと月末のこのコラム脱稿の締め切りが近づいてくると、「何かネタになるものがないかいな~~~?」といったことを言い訳に世間様を徘徊する傾向があるのでございますが、棚ボタ的に久々のビックリニュースが飛び込んできましたので、今回はこちらネタで行かせていただきます。

皆様もご存知かと思いますが、長崎県の佐世保で高校1年生の女生徒が同級生を殺害してしまった事件であります。ご記憶の方も多いと思いますが、2004年にも小6の児童が同級生を校内で殺害する事件が同じ佐世保では発生しており、地元の方々におけます衝撃はチョット計り知れないものがあります。

人格形成の過程における未成年者における対人的な事件は、多くの場合“売り言葉に買い言葉”的な突発的で衝動性の高いものや、一対一というよりは一対複数(典型的なクラスメートによるいじめなどはこれですね)といったケースが多いのですが、今回は全くの一対一でしかも殺害後に首や手首を切断していたということですから、衝動的というよりも何某かの計画性を持った犯行(彼女自身の場合は単なる“行動”が適当なのかも・・・)と言えるでしょう。

まあ報道のみで見聞きするこの様な事件では、もちろん当事者を診察したわけでもありませんし、真実のすべてが報道されているわけでもありません。よっていつの場合も類推するだけで私自身の妄想の域を出ない部分も多々ありますので申し訳ございませんが、今回の場合は当事者の精神鑑定が非常に大きなウエイトを占めるのではないかと思っています。

「そんじゃ~、お前ここで一発このケースの精神鑑定やってみるか!」と言われても(言われるわけは120%ないのは明らかですが)まあ非常に難しいケースでしょうね~。

言い訳をするようですが精神疾患の一部には、成人に近づいて初めて確定診断が可能となるようなケース(つまりその病気が診断基準を満たすまでに年単位でのプロセスを踏んでいくということ)もありますから、16歳の段階で最終的な確定診断をつけるべく精神鑑定をしろと言われても恐らく現時点においては精神科医によっても鑑定結果は異なるのではないでしょうか。

真実であるとすれば、小学校の給食に毒物を混入させたとか、猫への過度な虐待とか、いわゆる生き物の『死』に対する執着心が、一般的な高校1年生とは比べ物にならないくらい存在していたのだと思います。それのどの部分を病的とみなして、そして疾病であるとすれば治療によって改善(治癒)できるものなのか?このコラムで答えを出すことは正直今の私にはできません。

そしてこの様な未成年の事件(犯罪)ではいつも思うのですが、加害者は未成年ということで法的に守られて、個人情報に類する報道には縛りがかけられていますが、一方の被害者は年齢に関係なく常に白日の下に曝されてしまっているのです。

だから加害者の全部を暴けと言っているのではありませんから誤解のないようにお願いします。今の時代その気になって様々な検索をすれば恐らく加害者の個人情報にも辿り着くことだって可能な時代背景だとは思いますが、それ以上に被害者のプライバシーはもう少し何とかならんのか!!と憤りを隠せなくなってしまうのであります。

今回のケースだって被害者には未成年の兄弟姉妹がいるかもしれません、同級生の親友だって勿論未成年のはずです。マスコミ側からすれば「報道する義務」というのでしょうし、一般市民には「知る側の権利」も必要であることは重々承知しておりますが、やはりこれにもケース・バイ・ケースが存在するはずだと思うのでございますが如何でしょうか?

真実から大嘘までが混沌とした情報を誰もが安易に手に入れることを可能としている現在のネット社会におけるこの現状をしっかりと念頭に置いた上で、各メディアとしてのマスコミ報道というものは存在してほしいと改めて願う2014年盛夏でありました。

 

 

情報の錯綜は家庭内ですら命取りになってしまいますからね~~~(笑えませんって)。
それとスミマセン!次回の8月15日号は夏休みとさせて頂きます m(。≧Д≦。)m

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