理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.196

いじめとケンカ


8月になり全国的にも夏真っ盛りとなりました。昨年ほど「節電、節電」と関東地方は騒いではおりませんが、当たり前とは言え暑い日が続いております。改めまして“暑中お見舞い申し上げます”となりますが、コラム読者の皆様方にはお元気でお過ごしのことと存じます。

先月は全国的にいじめ問題が連日のようにあちこちで報道されておりました。これらは最近になって急にいじめが増えたのではなく、表立って報道される件数が単に増えただけではないかと私は推測しております。

最もマスコミが騒いでいる大津市の問題ですが、教師側や教育委員会側のコメントは御多分に洩れず「一時的な“ケンカ”であって、“いじめ”としての認識はなかった」と言う常套句を当初は連発していました。

ところでケンカといじめの確固たる線引きは果たして出来るものなのでしょうか?いじめとは「明らかに肉体的や精神的に優位な側が、一方的に劣位な側を責め立てる事」であるならば、ケンカとは「ある程度対等な力関係の上に成立するもの」となります。その力関係が何をもって対等と判断するのか?

“兄弟ゲンカ”とよく言いますが、歳の差のかなり離れた兄弟なら幼少時代であれば体力差はかなりあるので、定義からすると “弟いじめ”になってしまいますよね。今回はいじめを見過ごした事に非難が集中していますが、ケンカならほったらかしで問題はないのか?暴力団による恐喝はいじめに近いものがありますが、暴力団同士の抗争はケンカですからどうぞご勝手にとはいかないと思います。昔から「ケンカ両成敗」と言うではありませんか。

オリンピックも既に始まっておりますけれど、ルールに則った場合はケンカでもいじめでもなく“スポーツ”と称して熱い戦いを繰り広げています。でも高校野球の地方大会では甲子園常連の強豪校と、部員数が試合をするのに定員ギリギリの高校なんかとの試合は見るも無残なコールドゲームとなり「こりゃ~スポーツの名を借りたいじめに近いよな~」と思わせるケースも時々見かけますけど・・・。

随分前でしたが毎年東京大学に卒業生を大量に送り込む某私立高校が、対戦相手に向かって応援席から「バ~~~カ」「落ちこぼれ~~」「悔しかったら東大へ来い」といったヤジを対戦高側に浴びせて、マスコミが大騒ぎをした事がありましたが、入学偏差値と言う力関係から言えばこれも立派ないじめになるのでしょうか?まあメインの野球でいじめられているので、他流試合でいじめ返すと言えばそれまでの事なのかもしれません。

上司が部下に対して無理難題を押し付けて、理不尽とも思えるような対応に終始する。世間では“パワハラ”と称されておりますが、これも職場内でのいじめと言えばいじめになりますかね。但し上司が部下に指示を出す。こりゃ~当たり前の事です。そうなるとどこからが無理難題で、どうすれば理不尽とされるのか・・・。

これはもうケース・バイ・ケースで当事者間の問題としか言いようがありません。つまり人それぞれに、得手不得手、上手下手、好き嫌い、があるわけですから、皆が一斉に同じ土俵の上で相撲を取るようなことはそもそも不可能なのです。野球であれば野球場、テニスであればコート上、水泳ならばプールの中で話をつけなければ結論は出ません。

以前のコラムにも書きましたが、その1人ひとりの個性や能力を見つけ出して、それをきちんとした方向へ引き延ばす事が学校であれば真の教育、会社であれば真の人事なのではないかと思うのです。その適材適所への配置を雇う側も雇われる側も、上司も部下も、教師も生徒も、ゆっくり時間をかけて落ち着いて熟考する余裕も時間も今の日本には無いのが現状なのかもしれません。

オリンピックがある限り、因数分解が出来なくてもメチャクチャ足の速い野郎は必要とされるのです。グラミー賞がある限り、オームの法則を知らなくても鳥肌が立つぐらい歌が上手い歌姫は必要とされるのです。ノーベル賞がある限り、対人的なコミュニケーション能力に多少問題があっても常人では考えつかないような発見をする科学者も必要とされるのです。

「人と違う事」が我が国の場合は“いじめ”の対象や引き金になる事が多々あります。皆が遊ぶときに1人だけ勉強をした。皆と違う意見を1人だけで主張した。皆が万引きをしたのに1人だけ加担しなかった。何でそんな?と思うような事がきっかけになっているようです。

それが判っているから、「人と同じ事」にすがろうとするのでしょう。そうしないと自分がいじめられる危険性が高くなるからです。ただ先述のようにその違う事で突き抜けてしまえば、世界中から賞賛される事の存在をきちんと教えて、その方向性をちゃんとと導いてくれるような教育や、そこのところを理解できてそれを認める世の中が、最も必要な時代になっているのではないかと思う2012年の夏「頑張れニッポン!!」でした。





次回の8/15のコラム更新は時節柄“家庭サービス”に徹する所存であり、大変申し訳ございませんが“夏休み” を頂戴いたしますのでご了承ください。その代わりと言っては何ですが、TBS系列で放送中の「教科書にのせたい!」(毎週火曜日 20:00~)の8/21放送分に出演致しますので、そちらの方をどうぞよろしくお願い致します。それでは皆様どうぞ良い夏をお過ごしください。

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