理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.194

脱法ハーブ



さて本日は毎年恒例の“行く半年来る半年”でございます。今年もあと半分!月日の流れは本当に早く感じるのは歳のせい?コラム読者の皆様方は今年の前半を振り返って如何でございましたか。皆々様の残りの半年がより充実したものとなりますよう心よりお祈り申し上げます。

小指の先が無くなっていて、不倫相手の証拠のもみ消し工作に平然と“1億円”を要求する方々をして、「彼らは反社会的勢力の人達では無かった」と巨人軍はコメントしておりましたが、親会社である読売新聞の記者全員に本当にあなた方はそう思うのかアンケートをとってみたいものです。

その場で確定は出来ないまでも、「おかしいな?」位は記者レベルでなくても高校生くらいだって感じるはずです。であればそこから裏を取るとか、調査するとかしそうなものですが、何も疑う余地も無く“普通の市民”と言い切る新聞社が、魑魅魍魎の渦巻く政治や外交の人間関係などにおいて、真の報道なんて本当に出来るのでしょうか?相変わらず我が国のマスコミのレベルを実感させられてしまう事件でした。

でも相手もまさか本当に2日後に1億円用意してくれると思っていたのでしょうか?多少はゴネられて、良くて半額、最悪ゼロ1個減ってしまう、位の攻防は覚悟の上だったのが、2日でポ~ンと耳を揃えて1億円!「あるところにはやっぱりあるんだぁ~」と思ったに違いありません。たぶん。

閑話休題。さて最近そんなマスコミを賑わせている物の1つに『脱法ハーブ』なるものがございます。私は一応これでも精神薬理の分野も専門としておりますので、ちょっと気になる代物であります。まあベタな言い方をしてしまえばドラッグの中毒や依存ですから、決して野放しにはできません。

その売り方も街中で堂々と店舗を構えて「お香用です」と称して売っていたり、インターネット販売で宅配をしていたりと、様々な方法で販売されている模様です。またその成分内容はどんどんと新しいもので構成をされており、法の規制が全く追いつかないスピードでの展開を示しているため、取り締まろうにも全然取り締まれていないのが現状です。

その成分はトルエン(シンナーといえば!)、カンナビノイド(マリファナですね!)、アンフェタミン(覚醒剤はこれ!)といった単剤ではなく、色々な物をブレンドしているようですので、1種類では認めなかった症状(副作用も含む)が他の成分と一緒になる事で引き起こされるdrug interaction(薬物相互作用)も多々あると思います。

現状では使う側だって一体自分がどうなるのかわからないで使っている可能性もかなり高いはずです。ウソかホントか、売っている側の人間が「実際こんなもん、とても怖くて自分じゃ使えね~~~」と言っているような話も耳にしました。

薬物乱用の目的は判り易く言えば“現実逃避”です。アルコールだって酔っ払う事で個人差はありますけれども、気分がおおらかになったり、人格まで豹変したり、そんな事を承知で飲むわけですから立派な現実逃避ですよね。(そうか、家に帰ったら無性に飲みたくなるのはこれだったんだ!)

つまり今の自分が(自分の置かれた状況が)イヤだ、つまらない、変えたい、それが安易に一時的にでも出来るのならば・・・。そんな感じで始めてみて、余程のBad Trip(悪酔い。いわゆる気持ちよくなるつもりが悪心、嘔吐、頭痛、虚脱感etc.といった本人的には辛い思いをしてしまう事)をしてしまわない限り、2回、3回、・・・と続けて行ってしまうのであります。

またこの安易に手に入れる事が出来る脱法ハーブがきっかけで、マリファナ→コカイン→覚醒剤と次第に使う薬物がエスカレートしていく現象をSteppingstone Theory(飛び石理論)と言い、かなりの確率でこのような方向へ多くのケースが進んでいってしまいます。

以前このコラムにも書きましたが、薬物依存には大きく2種類あると言われていまして。「精神依存」と「身体依存」であります。精神依存とは簡単に言ってしまえば“本人の意志さえ強ければ”断つ事が出来る薬物、身体依存とは頭ではダメだとわかっていても“身体が欲してしまう”ため断つ事が非常に困難な薬物です。

大麻も覚醒剤も基本的には精神依存の薬物とされていますが、現在続々と製造されている脱法ハーブの中に、身体依存を呈してしまうものが生まれないとも限りません。もしそのような事になってしまうと事態は益々深刻な方へと発展してしまいます。

またシンナーや覚醒剤は年単位といった長期間の使用で脳内の神経に支障をきたし“統合失調症”と同じ症状を呈してしまうのですが、これらの脱法ハーブにはもっと短期間で脳内の神経伝達をおかしくしてしまい、それは後遺症として一生改善を認めないこともありそうです。

最悪本人だけでの“自爆”なら全くの自己責任ですが、縁もゆかりも無い赤の他人を巻き込んでの事件や事故が増えてしまう可能性も、今の流れからすると個人的には何となく嫌な予感がして来ています。

どこでどれだけ売っていようと、買わない(使わない)人ばかりになれば商売は成り立たず、その商品は市場から消えて行くのが経済の原則ですが、これから使わない(使うと取り返しのつかない事になる)啓蒙活動を医療関係者も含めて社会全体で行っていく事は脱法ハーブについては一刻の猶予もない状況と言えましょう。



6月末に銀座松屋の屋上に「ソラ×ニワ」というプロジェクトが立ち上がり、ラジオ局をオープンさせました。今回チョットしたご縁もあって、恥ずかしながら私もそのプロジェクトに参加させて頂く運びとなり、毎週金曜日の17:30~19:00のパーソナリティを担当いたします。
スマホの方はアプリをダウンロードして頂き、PCの方はこのプロジェクトのHPを通じて世界中で聴けるそうです。番組タイトルは「ドクトルコバの銀座の奥義」(笑)と言います。毎回色々なフィールドからのゲストをお呼びして、色々と楽しいお話と音楽で構成してまいりますので、よろしければ金曜日の夕方に少しだけお耳を拝借させて頂ければ幸いです!実のところはまあどうなる事やら・・・ですけどね。

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