理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.192

新型


どのようなアンチエイジングを施してみても、私が生きている間に東京では二度と見る事の出来ない“金環日食”も微妙なお天気の中、家族全員で我が家から何とか観測をする事が出来ました。

どちらかと言うと天の邪鬼で世間が騒げば騒ぐほど引いてしまうタイプの私も、実際にこの目で見てしまうと素直に感動(スゲェ~)を致しました。相変わらず不順なお天気続きの5月でございましたが、コラム読者の皆様方は如何お過ごしでございましたか?

野党に下野したら、一芸人の私生活をつつきまわす事くらいしか仕事がないのかと思わせる今回の生活保護不正受給騒動であります。話を聞いてしまえば「やっぱりそりゃ~まずいでしょうね」と思わせる一件かと思いますが、躍起になっている議員もマスコミもどう見ても騒ぎすぎでしょう。

正確に言えば、“騒ぎたてる方向を全く間違えている”と言った方が良いのかもしれません。普通と思っていたのが不正の受給であるのであれば、不正に受給できない法律を作る事が立法府にある議員の仕事になるはずです。そんな自分達の仕事ぶりは相変わらず棚に上げて、変に正義感ぶって騒ぎたてるオバちゃん議員の形相は決して美しいものではありません。

場末の芸人を税金泥棒と罵る前に、最高裁でも違憲となった国会議員の定数是正は、一向に改正を行う雰囲気すら醸し出さない人達が、何を言ったところで誠実感は一切見えてきません。そんなことより先にするべき事は山ほどあるのに、我が国の国会議員はいつもこんな感じです。

確かに一生懸命汗水たらして長年働いて、税金も年金もきちんと納めて、いよいよ自分の年金が支給されるときになって今回の話を聞いてみました。そしたらナント生活保護の人の方の支給額が自分たちよりも多くて、病院に行っても全部タダで、NHKも無料で観放題なら、今の世の中多くの高齢者は生活保護の申請しちゃいますよ。

一昔前は生活保護を受ける事は人目をはばかってしまうような、どちらかと言えば恥ずべき事と捉えがちな風潮がありました。ところが今回の件では「貰い得」や「貰わなきゃ損」を臆面もなく前面に出す『新型生活保護』と言っても良いケースが増殖しているのではないかと思うのであります。

今回の件がきっかけで今後色々なシステムの見直しが必要となるのでしょうが、一番困ってしまうのは“本当に支給されなければいけない人”に適切な支給が滞ってしまう事です。そこの部分をきちんとジャッジ出来るシステムをきちんと確立して欲しいと願うばかりです。
そして実はこれに似たような案件が、我が国の精神科医療の領域にも蔓延っているのであります。そうです『新型うつ病』であります。コラム読者の皆さんも名前は御存知かと思います。最近の若者(特に新人社員)に多く出没して、先日のNHKのスペシャル番組でも取り上げていました。

会社にいる時間だけ抑うつ状態が持続し、意欲低下や気分の落ち込みを訴える。しかし自宅に帰宅後や、週末の休日にでもなれば元気な状態で過ごすことは可能な人達です。今現在多くの会社ではそのようなケース対応に苦慮しておりあちこちで問題視されています。

ここで皆さんにはきちんと御理解して頂きたいのですが、新型うつ病とうつ病の関係は新型インフルエンザとインフルエンザの関係では“ない”と言う事です。新型インフルエンザとは従来のインフルエンザウイルスの亜型であり、以前に存在していたものが違う形に“変化”をしたものです。

ただその威力が未知であり、想像を絶するものであった影響からか、当時のマスコミが「新型」をネーミングとして付けたがる傾向が生じ、同じような時期に『新型うつ病』がこの世に登場したものだと思います。

しかし新型うつ病は先述のインフルエンザのように以前から存在していた疾患が変化したものではありません。誤解を恐れずに言うならば、これらは“全く別の疾患概念”であり、似て非なるものと私は捉えております。ただ会社にいるときの精神症状が従来のうつ病に非常に類似しているため、上司や同僚などはうつ病と同じ対処を余儀なくされてしまい、また通常のうつ病の対応では一向に改善を認めず、その結果現場は混乱をきたしているのです。

うつ病の経過で最も注意が必要な点と言えば自殺の回避です。近年において年間3万人を超える自殺者数が続いている我が国では、うつ病と自殺との因果関係は非常に重要なポイントなのです。社内に自殺者が出てしまうという事は、当事者は勿論のことそのご家族そして会社側にとっても由々しき問題となってしまいます。

そこで声高に「新型はうつ病ではない!」と言い切ってしまう事で、先ほどの生活保護受給の件と同じように、うつ病の治療を本当に必要とする人達が逆に新型と同じ扱いを会社内で受けてしまう危険性が高まってしまいます。それによって治るはずの人が復職できずに退職を余儀なくされたり、自殺に至ってしまったりするケースが増える可能性も出て来るのです。

生活保護とうつ病における私の言うところの『新型』。これらに今後どれだけうまく対処できるかが、この国の行く末を大きく変えてしまう可能性があると強く断言いたします。




 
家庭内での『新型』はあくまでも外見だけに限定して頂けると嬉しいのですが・・・。

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