理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.012

PTSD

今回は「PTSD(Posttraumatic Stress Disorder):心的外傷後ストレス障害」について語らせていただきます。この言葉が我が国において市民権を得たのは、1995年の神戸における大震災とオウム真理教による地下鉄サリン事件の時からだと私は思っています。最近では、例のイラク人質事件などからも多くの報道機関でPTSDと言う単語が一人歩きをしかかっていたようにも思えました。そうしたところ我が国の医療現場におけるPTSDの診断には誤診が多いという最近の研究報告もあり、言葉の定義として(診断基準として)誤った使用をなされていることが明確化されたのです。言葉とは、それが流行語大賞にノミネートされるくらいポピュラーになれば、そこからは当初とは違った意味や使われ方になって一人歩きをしてしまう事も多々見受けられますよね。

この疾患のルーツは、アメリカにおけるベトナム戦争の帰還兵に起こったものとされていますが、自分のような性分の人間に言わせてもらえば、「世界大戦じゃ〜どうだったの? ひょっとして関が原の合戦でもあったんじゃない?」となってしまいます。恐らく現行の診断基準に則った症状は当時にも確実にあったのでしょう。ただそれを疾患と認定するまでにこれだけの歴史を有しただけの事だと思います。私の両親の世代は第二次世界大戦を体験してきた世代です。ではその様な人達の中で、戦争を体験したことよるPTSDに悩み、苦しみ、そして現在もなおその加療を受けている人が果たしてどれ位いらっしゃるのでしょうか?恐らく皆無に近い数字であろうと私は推測します。

戦争と平和、幸せと不幸せ、勝ち組と負け組み、etc.この二者間のギャップが大きければ大きいほど、その差を痛感した時のストレスはより大きくなるわけです。家の中で火事が起こっても2階のベランダから飛び降りたところで大怪我にはならないでしょうが、最近都内に“乱立”している高層マンションの35階あたりのペントハウスからでは火事より大事になってしまうことは必至ですよね。つまり否が応でも大きなストレスを感じさせられてしまう世の中に、どんどんなってきているということでしょう。PTSDが恒久的であると誤認している平和の中(35階のペントハウス)で、突如として発生したトラブル(災害・不幸など)によって引き起こされる疾患だとすれば、現在我々が感じている今の状態は、“永遠なもの”という自分勝手な思い込みであることに早く気づかなくてはいけないのかもしれません。

人間は強いストレスを受けた時に、脳内にある海馬と言う組織の機能低下を示すという研究報告があります。海馬とは人間の記銘力に非常に重要な部分であるわけで、そこで私はこの研究結果を『大きなストレスを感じた時に記銘力が低下する事とは、そうか〜、嫌なことがなるべく残らないように神様がそうしてくれているんだ〜』と勝手に解釈することにしている次第です。全く楽天的な思考だと言われればそれまでかもしれませんが、それもひとつの対応策になるのでは?

そこで我が家と言えば、どこから火の気があがっても(妻や子に追い立てられても)外には脱出可能なところで、毎月大家さんにもきちんと家賃を振り込みながら生活しておりますからどうぞ皆様御心配なく。

新CM公開中! 薄毛治療を相談する
WEB予約

ご予約/お問合せ

頭髪治療・
メンズヘルス