理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.040

ダイエットする女性の心理

皆さんは『卒業論文』なるものを作成された経験はおありでしょうか?医学部では卒業試験は何回も行われるのですが、卒論はありません。そう言えば論文なるものをきちんと作成した経験もないまま医者になってから猛然と論文を読まされたり、書かされたりするようになり、最近の流行り言葉になりつつある“国語力”と言いますか、“語学力”(英語の論文もありますからね〜)が本当に必要に思われます。私の語学力なんてものは、ここまでのコラムを一読いただければ説明(弁明?)の必要もございませんけど・・・。

さて、先日都内にある中高一貫の某進学校に在籍しているという中3の男の子から当クリニックに突然の依頼がありました。どうもその中学校は卒業前に、あるテーマを決めて1人で論文を作成しなくてはならないのだそうです。そのY君が自ら選んだテーマは「ダイエットをする女性の心理について」だそうで、そのあたりで精神科医としてのコメントと、彼からの質問事項に対しての回答が欲しいとのことでした。

何となく狐につままれたような感じもしたのですが、悪い冗談やいたずらでもなくて話を聞けば聞くほど本人は真剣そのものです。電話だけでも回答可能かとも思ったのですが、現地取材が絶対原則と学校側から決められているようです。こちらも診察時間中の取材は診療に差し障りがありますから、休診中の時間に何とか都合をつけて、依頼人であるY君に御来院頂きました。

今時の中学3年生にしてはやや小柄で、いかにも真面目そうな進学校の生徒さんといった印象です。自分は食べても食べても全然太れないのに、通学中の電車の吊り広告(特に女性雑誌)に必ずと言っていいほど「ダイエット」の特集が目についていた事が、今回のテーマ決定に至った流れだそうです。それからよくよく話しを聴くと当クリニック辿り着くまでに、何と!9つのクリニックに取材拒否を受けていたそうです。全くひどい話ですよね〜。健気な中学生の取材くらい受けられないほど皆さん御多忙なのでしょうか?かれもテーマを決めたまでは良かったのですが、肝心の取材が立ち行かず、提出の締め切りも間近になってかなり不安な日々を過ごしていたようです。

ダイエットが引き金になって発症する事がある「摂食障害」というカテゴリーの精神疾患についてのお話をいたしました。精神疾患におけるダイエット絡みのキーワードに“ボディー・イメージの歪み”と言うものがあります。これは100人が見れば、ほぼ100人が肥満ではないと思えるような体型の人が「私は太っている!醜く太っている!」と思い込んでしまう状態を言います。ともすると「身体醜形障害(Body
Dismorphic Disorder)」なる診断がついてしまうこともあります。一種の強迫観念とも言えましょう。

このようなタイプは多くの場合「拒食」に走っていきます。とにかく、食べると太る、だから食べない、もっと痩せたい、過剰に活動してカロリーを大量に消費する、でも本当に何も食べないと命の維持が出来ないので
“盗食”といって盗み食いをする、そんな感じで日々を過ごされます。重症例では本当に命にかかわるケースもありますし、治療も困難を呈します。

一方で拒食の対極に「過食」がありますが、これはとにかく食べまくる!とことん食べる、食べるものが無くなるまで食べ尽くしてしまった上で、自責の念から“
自己嘔吐”若しくは“下剤の乱用”に走っていきます。年季の入った患者さんの拳にはしっかりと“吐きダコ”なるものが形成されております。え〜〜っ、本当にそこまでやるのか〜〜?ではなくて、そこまでやっちゃうんです、必死に!原因は人によって様々ですが、やはりストレス解消(イライラ感の払拭)の為にどうしても食べ物を口に運ばずにはいられない状態(わかっちゃいるけどやめられない状態)のようです。その昔「寂しいオンナは太る!」なんてタイトルの本があったような、なかったような・・・?

とにもかくにも忘年会のシーズン真っ只中です。皆さん病気はさておき、暴飲暴食にはくれぐれもお気をつけ頂きたいと思います。今年も1年間、この拙いコラムに(小林家の動静に)お付き合いいただきありがとうございました。また来年には新しく開設する銀座のクリニックについての御報告も早々にできるものと思います。楽しみにお待ちくださいね。

それでは素敵なクリスマスと、どうぞ良い年をお迎えください。

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