理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.042

スキーと医学生

本当に今年の冬は寒い日が続いております。ここ数年、地球温暖化で雪不足に悩む事の多かった我が国のスキー場も、場所によっては“逆に雪が多すぎて閉鎖を余儀なくされた”と言う皮肉な現象もおきているように聞きます。日々屋根に積もった雪下ろしに追われる皆様には心よりお悔やみ申し上げます。

さて、そうは言ってもウインタースポーツに雪は無くてはならないわけでして、私もその昔、学生時代には友人達とスキーに行っておりました。今の若者は「スノボ」なのでしょうけど、我々がゲレンデを徘徊していた時代には、スノボはまだ市民権を得られていませんでした。また、あまり雪とはご縁の薄い土地柄で生まれ育ったこともあって、本格的にスキーを始めたのは大学に入ってからでした。

その当時スキーは私にとりまして、行くまえに(ある程度の道具を揃える為に)お金が掛かる、行くまでに(雪のある場所に辿り着くにはそれなりの交通手段を使う為に)お金が掛かる、行ってからも(ゴンドラ&リフト券は必ず購入する必要があり、せっかく行くのだから何泊かしたいとなる為に)お金が掛かる、つまり事を成すためには「3重」にお金が掛かる“ウインターレジャーのヘレン・ケラー”みたいな存在でした。

当時は次の学年に進級できるかどうかの試験が終わらない事には何も出来ない医学生でしたから、ゲレンデに向かうのは2月末〜3月にかけて(再試に引っかからなければ2月中ってこと!)となるわけです。私の学生時代と言えば、毎月の生活費や高額な授業料で親の“スネ”は既に消失してしまい、父は膝に靴をはいて生活をしておりましたので(ウソです!)、そんな金の掛かるレジャーを親の懐にオンブにダッコとは、さすがの放蕩息子の私といえども自分自身で何とかせねばと、短期集中のアルバイトに勤しんだものです。

20年以上も前のことですが、浪人生活1年目にピリオドを打って、めでたく大学生活に突入!、となれば何の問題も無かったのですが、単に “予備校が変わるだけ”の結果に終わり、予備校の寮も追い出される羽目となり、取り急ぎ身の回りの日用生活用品(布団だの、机だの、)を買い揃える為に、急遽『道路工事のお手伝い』に参加させていただいた事がありました。皆さん日頃よりアスファルトの道路を何気な〜く歩いたり、車で走ったりされていますけど、作る側に回られた事のある方はそう多くはないと思います。今でも鮮明に思い出せますが、凍えるような寒い日でも、汗だくだくだくで舗装しておりました。

大学に入ってからはさすがにそこまで肉体を酷使しなくてもとの思いと、学生時代からの「臨床医療は接客業だ!」の理念に基づき、これも何かのご縁でしょうか「デパートの催事における婦人靴の販売」に行き着いたのでございます。女性のオミ足を拝見しつつお金が稼げるなんて、そりゃもう二つ返事でOKしましたよ。ところがどっこい、そう人生は簡単に上手いことはいかないものでして、私が販売を担当させられた靴の購入者の平均年齢は、当時の自分の年齢よりもかけ離れた、むしろ限りなく“平均寿命”に近いものがあったわけです。つまり「履き心地重視、デザイン二の次!」そんなタイプのお靴だったわけですね(号泣)。しかし、今思えばそのような社会経験が、今日の“マダム”の皆様方へのスムースな外来診療の一端を担っていると確信しておる次第です。(オイオイ)

と、まあ医師の資格を手にするまでに色々な現場で社会実習をさせていただいたのですが、私の場合あまり医学生が居たためしの無いような所が多かったのか、素性がばれるとよ〜くされる質問がいくつかありました。【その1】「ね〜、ね〜、死体解剖ってもうやったの〜」⇒何故か必ずと言って良いほど訊かれました。死体では無くて御遺体である事を説明した上で、当然ですが献体をしていただいている篤志家の方々に失礼の無い範囲で返答しておきます。【その2】「それでさ〜、専門は何をやってるの〜」⇒これも多くの方々が医学生のうちに専門分野を決めるものと思っておられることにチョッとビックリしましたが、これも本当に良く訊かれました。国家試験は『医学』全ての範囲から出題されます。はい。

こんな私の歴史が日々の臨床医の責務とは、専門的なことは多少あるにせよ老若男女を問わず、いかなる症例においてもこちらが十分相手を理解した上で、その人にとって一番履き心地の良い“靴”を見つけて、しっかり歩くべき“道筋”を示唆してさし上げるこだと思わせつつ今日に至っております。そして今年もそんなクリニックでありたいと思います。

ったって、私生活では妻や娘が靴を買うのに付き合わされて、一緒に市中を徘徊してりゃ世話ないってとこでしょうね。(ヤッパリ今年もかよ〜・・・)

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