理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.049

医師過剰時代に突入

先日、都内で開業医されている循環器の先生と話をしていましたら、どうもここに来て医者の開業ラッシュになってきているとの事なのです。様々な理由はあるようですが、その一つに、今国会の医療法改正案に盛り込む予定で厚労省が打ち出した「医師が将来、診療所を開業したり、病院の院長になる条件として、へき地、救急、小児救急、周産期(産前産後の母子健康)、災害のうち、いずれか一つの医療分野を2年程度経験するよう義務付ける制度」なるとんでもない法案が登場した影響もあるようなのです。

この法案自体は今回見送られてしまいましが、今後このような事がもし可決されれば、現在研修中の若い医師達は問題ないでしょうが、私のような年代になってからいきなり“おい、2年間小児救急を経験して来い!”と命を受けても、ハッキリ申しまして体力的についていけないこと請け合いです。つまり、『こんな事をさせられる前に開業しておけ』と思った医者は慌てて医療圏の調査(自分がもしこの場所で開業した場合に、どれ位の患者さんになりそうな人達が周りに住んでいて、ライバルになる診療科がどれだけ存在しているのかを調査する事)に乗り出しているようなのです。

医師過剰時代に突入と叫ばれて随分と経っている様にも思いますが、医者が仕事に就けなくなる目安としては、その国の人口10万人に対して医者がどれだけ居るかが一つのポイントになります。さて我が国では、平成16年の報告によると人口10万人対201.1人という医師の数であったようです。ちなみに東京が264.2人と最高で、以下徳島262.4人、高知261.4人です。逆に少ない所は埼玉129.4人、茨城142.3人、千葉146.0人と大都市の周辺で人口増加が激しい所は、まだ医師の増加の方が追いついていないようです。全国的には明らかに東低西高で西日本は医者が溢れています。

実はその『200人』が大きなポイントとなる数字だそうです。実際EU圏でははるか以前にその200人は突破しており、イタリア、ドイツ、ベルギーあたりではその200人を突破してから、医師の免許は持っていても他の仕事に就いている人も出て来ております。我が国も地域によってはそのような事が今後起こってくるのでしょうか?医師免許を所持したタクシー運転手。多少事故っても安心?「残念でした。元精神科医で、傷の手当ては苦手どぇ〜〜す」

そんなこんなで医者だって生き残る為には今までと同じ事をして、その上で胡坐を掻いていたのでは、すっかり先は見えてしまう世の中になってしまいました。だからこうやって、文才も無い医者が、恥を忍んで月に2回も家庭の内情を暴露してまでコラムを続ける・・・・・(泣)。少なくとも私が医者になった頃には、全ての医者もこの様な事になろうと想像し得なかった現状がここにあるわけですよ。

そこで時間のあるときなどは、他のクリニックのHPやそこに記載してあるブログなどを後学のために拝見させていただいております。しかしまあエロエロありますね〜。学術論文のように立派なものから、何処行って何食った話だけのものとかetc。そこで先日チョ〜ッと引っ掛ったものがありましたのでチョッと一言。

それはそのクリニックの院長先生は患者さんのことを『顧客』と呼んでいたのです。以前このコラムのVol.8でも書きました、「患者『様』とは如何なものか?」と。私は医者と患者さんはあくまでも対等な立場で、同じ目線で疾病をみるものであって(そりゃみる方向は多少違わないとまずいですが)、どちらが偉いとか、立場が上とか下とかではなく、先生さまでも患者様でもないでしょうに、と申し上げました。しかし『顧客』となってはどうでしょうか?そりゃ顧客から「シワとって!」といわれたら、いかなるシワだろうととって差し上げる。顧客からの要望ならば、たとえそれが医学的に倫理を外れたものでも受け入れると言う事なのでしょう。だって顧客に向かって同じ目線の高さで医療指導や教育的発言などをしてはまずいでしょうからね〜。医療の枠を超えてませんか、これって?

4月から医療法も改正されて、保険診療は医療を施す側にも受ける側にも世知辛くなってきております。医療問題だけでなく外交問題、経済問題、etc.と問題は山積みになっています。これから私達の国は本当に正しい方向にむかって進んでいけるのでしょうか?一抹の不安すら抱いてしまう今日この頃です。

えっ!国を憂いている前に、お前は家庭平和を憂いている事の解決が先だろうって?・・・その通りでございます。一つ一つの家庭平和が積み重なって、世界平和に繋がるはずですから。きっと。

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