理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.060

切れた親子

この連載も早いもので60回を数える事となりました。HPを管理している者からは、回を追うごとにアクセス数は増えている(作者のmotivationが落ちないための配慮かもしれませんが・・・)との報告もあり、ネタ探しに奔走する日々であります。今後とも御愛顧のほどをお願い申し上げます。

さて今回は、「さすがのア・タ・シでもこれやられちゃうと“ブチッ”ときちゃいますよ〜」なるものはおありでしょうか?をテーマにしてみたいと思います。どうでしょうか、ありませんか、これだけはってやつは?

“非常に温厚な肉食動物”として有名な筆者(?)ですけど、やはり“ブチッ”は時々ありまして、その一つを御紹介させていただきます。私には日々の生業として外来診療がございますが、この診療を“理不尽な理由で断ち切られる”ことに対してはかなり激しいストレスを感じてしまいます。理由につきましてはニュアンスとしてこんな感じでお分かりいただけるかと思いますがいかがでしょう。

巌流島で武蔵と小次郎が真剣勝負をしている真っ只中に「あの〜今日のお昼なんですけど、御二人とも幕の内弁当でよろしかったですか?それとお茶は今日の陽気ですと冷たい方が・・・」なんて水を入れられたら・・・、あの結果もどうなっていたかわかりません。

ところがつい最近、外来中に私を激震させるまさに例の核実験ような出来事が起きたのであります。それはとある平日の外来中のことでした。事務スタッフが突然「御実家のお母様からお電話です!」と駆け込んできたのです。通常診療中の電話は取り次がないようにしていますし、急ぎであれば診察後に折り返しで掛け直すことにしています。ただ以前に親族が突然体調を崩して入院の知らせがあったこともあって、事務方も気を利かしてのことだったのでしょうけど・・・。

「もしもし、どうしたの?何かあったの?」と私。

「ちょ、ちょっと、今電話変わるから」と何となく不穏な雰囲気の母。

(おいおい、ひょっとしていきなり主治医が出てきて病状の説明なの!?と身構える私)

「あ〜、お忙しいところ申し訳ございません」と相手側。

「本日こちら、御自宅の洗面台の水漏れの件でお伺いしております、○○(会社名)の××(人名)と申します」と御挨拶です。

「はぁ↑」と予期せぬ説明に若干語尾が上がってくる私。

「昨今に起きましては、悪質なリフォーム詐欺が社会的問題となっておりまして・・・云々」

「えぇ↓」と一分一秒を争う緊急事態ではなさそうな匂いを明らかに感知し、語尾が急激に下がる私。

「つきましては現在お住まいになっておられる方が皆様70歳以上になりますと、御親族に確認のお電話をさせていただいております。さらに作業現場での不正がないかの確認のため本社からも再度確認のお電話をさせていただきますのでよろしくお願いいたしま〜す」と契約一つ取れそうな喜びに浮かれ気味のリフォーム会社。

ブッチィ〜〜〜〜ン(ここで確実に切れた状態に突入)

「再度確認って、今すぐに掛けてこられるんですかっ?」と非常に温厚な肉食動物とは思えないようなかなり語気は荒くなっている私。

「これから本社に状況を説明した上で、折り返しになりますから・・・少しお時間を頂くようになろうかと・・・」こちらの雰囲気をある程度察したような口調に変化するリフォーム会社。

「こちらはただいま診療の“真っ只中”でして、そのような電話をすぐに取り次ぐ事も不可能ですし、既に予約の患者さんはお待ちですから今からいつ掛かってくるかもわからない電話を待機するなんて不可能ですけど!」とキッパリ告げる私。

「全くっ!別に息子に支払ってもらうわけでもないし、診察時間中に電話を掛けるなんて困るって言ったんだけど、こっちもすぐに直してもらわないと困るからねっ!・・・・」と電話の件よりどうも『認知症』呼ばわりされた事に対して“私以上に”怒り心頭状態の母親。

結局その日の外来診療終了後に確認の電話をしてもらう事で決着はつけましたが、まあ仕事とはいえ「完全にブチ切れた親子2人」の相手をしなくてはならなかったリフォーム会社の担当さんが一番の被害者かもしれません。それにしてもここまで徹底しないといけないなんて、よっぽどあのリフォーム詐欺って悪質だったのでしょうね〜。全国的に!

 

我が家では滅多に切れません。こちらが切れる前に先に切れてますから、相手が・・・(泣)。

今回の座右の銘・・・「先んずれば人を制す」トホホ。

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