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院長の部屋

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.062 PETで癌が…

我々医療の現場においては所謂“ハード”の分野は本当に日進月歩で、新しい検査機械や医薬品が世に出てきています。これまでは不可能であった検査や治療が現実のものとなり、不治の病も不治ではなくなってきたり、平均寿命も亢進を続けております。

その一方で“ソフト”の方はと言いますと、日々の医療現場においては相も変わらずヒポクラテスの時代まで遡っての倫理観や臨床としての医療のあり方を、ああでもなければこうでもないと紛糾し続けているようです。

これは機械や装置は次々に変わっても、人間なんて結局今も昔もそんなに変わっちゃ〜いないって事なのでしょう。つまりこれからも変わっていかない人間がどんどん変わっていく機械とどう係わって行くかが問題になるわけです。

最近かなりの施設に導入され、これだけのドックも登場しているPET(Positron Emission Tomography)なる装置がございますが、御存知の方も多いと思います。簡単に説明させていただくと、ポジトロン(陽電子)を放出するアイソトープ(同位体)で標識された薬剤を注射し、その体内分布を特殊なカメラで映像化する診断法です。何やら最近はPETカメラとCTを一緒にした装置があり、悪性腫瘍の位置情報も正確に読めるようになってきたとの事。まぁ〜つまるところ、今まではその存在すら発見できなかった小さな小さな癌もこれで見つける事が出来て、早期発見早期治療に繋げて行きましょう!という代物であります。

それでは自分の体の中に直径数mmの癌が見つかりました。さてどうしましょうか?それが継時的にどんどん大きくなって、転移もして、全身を蝕んでしまうのであれば即刻取り除いてくれ!と叫んでしまうのでしょう。それは発見された癌の部位と種類にも因るでしょうが、“癌なるものに対しての人間自身の自然治癒力は全く無い”を前提にする事が、PET検査直後の治療に臨む上での絶対条件になります。

今現在、暢気にこんな文章を書いている私の身の上も、既に体のどこかで癌細胞が発生しているのかもしれません。しかしその発生した癌細胞は100%全てが拡大して転移をするまで増悪するものなのか?いや、本当に小さい出来たてホヤホヤなものならばひょっとして周囲の正常細胞や免疫系統のシステムが退治してくれているのではないかとも思ったりするのです。

つまり自己における自然治癒力を超えた癌のみが悪化の一途を辿ってしまうものとすれば、見つけた癌の全てが治療の対象になるかどうかは一考の余地あり!という事になるのではないでしょうか?そういえばあのチャングムさんも言っていましたっけ、「王様。病気は医者が治すものではありません。病人が治していくものです!」と・・・。

こんな笑い話もありました。「病気になりたくなければ病院にいくな!」というものです。病院へ行けば医者から何らかの病名をつけられて病人扱いになる。つまり病院に行きさえしなければ、症状はあっても診断がつかない以上は完全な病人(病気)ではないということだそうです。(これぞ屁理屈)

昔から『病は気から』(当クリニックでは『病は“毛”から』)と言いますが、それは確かにあることだと思います。何でもかんでも見つけ次第に処置をしていくことで、逆にその人自身の自然治癒力を弱めてしまう事になりはしないか?あまりにも過保護ではどうしてもひ弱になってしまうのではないだろうか?と思いを廻らす今日この頃です。

 

過保護にしていても“別の意味”で強い人は強いんですけどねぇ〜・・・。

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