理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.092

お受験

暦の上では春になりましたが、まだまだ寒い日が続いております。コラム読者の皆様もその後もお変わりなくお過ごしでしょうか?2月の上旬と言えば、年々首都圏では中学受験の地獄絵図となっているようでして、今回はその辺りで一言。

昨年の冬になる前あたりでしたか、受験を受け付ける側の先生が「今年は入試の問題を3回分作らなきゃいけないんです・・・」とボソッとお話をされたのです。私は問題が漏洩でもしたとき用にしても3回分は多くないか?と思ったのですが、実は“3回”入学試験を実施するからだったのです。

多くの私立は2月1日に入試を行うようですが、少子化の折から多くの中学校が学校の存続を懸けて、少しでもお勉強の上手な子供たちを、少しでも多く確保したい、との思惑を持っているようであり、そこで最近では“敗者復活戦”を行っていたのであります。

そうなると初日にどこを受験するか(合格するか)でその後の予定が大幅に変わってきます。もちろん初日に受かればそれで全て万々歳でございます。しかし初日から安全策を取ってほぼ確実の合格圏を狙ったか、多少無理目でも果敢にチャレンジしたかで、初日に桜が咲いてくれないと、次にどこを受験するかまたこれ微妙になってくるようなのです。

しかも3回受験して最終的に補欠に残った場合は、3回目だけ受験した補欠よりは優先的に合格させてもらえる特典あり!とかもあったり、午前と午後で2校掛け持ち受験があったり、12歳の子供達が受ける試練としてはかなり厳しいものがあるように思えます。

前回のコラムでも書きましたが、世界的な学習レベルを図るテスト(PISA:Program for International Student
Assessment)で、確か最近の一位はフィンランドだったと思いますが、この国の小学生あたりの年代では、所謂“競わせる”学習は存在しないようなのです。

月に2回この場をお借りし、さもわかったかのように偉そうなことを書きなぐっております私でございますが、幼少時はさておき「二十歳過ぎたらただの人」の典型を地で行ってしまったおかげで、大学の門をくぐるまでは多くの競争に敗れて、何を隠そう私の親にも余計な出費を強いてしまった訳であります。

しかしその大学を卒業し医師になる関門として、卒業試験、国家試験を突破しないことには何の為の大学生活と言うことになります。当然試験勉強を必死になって行うのですが、これは「他人を押しのけて少しでも上位で!」と言う試験ではなく、ある一定の知識や能力や適性を認めてもらえたら合格するものです。そこでこの時期は“普段から気心の知れた勉強嫌い”が何人か集まって、各人がテーマを決めてお互いがその部分を教え合うような勉強会を続けていました。

自分が理解するだけでなく他人に教えなくてはならない訳ですから、嘘や間違いがあってはいけませんし、他人が理解できるような言葉や説明をしなくてはいけないため、一人が勝手に学習するよりも手間や時間を要したように思います。しかしそれが最終的には本当の学習につながり、お互いが叱咤激励しながら学んでいった結果、我々は皆無事に卒業して国家試験にも合格できたのだと思っています。

今ではそれぞれ専門も違い、働く場所も違いますが、患者さんのことで何か専門的なアドバイスを欲しいと思えば、いつでも的確な返事をもらえる頼もしい医師達です。生涯の友人とも言える存在です。

このような勉強の仕方を私は「成人」になってから初めて経験したのですが、むしろこんなシステムの教育方法が幼少時にあれば、今の教育現場とは多少違う状況になりはしないかとふと思ったのであります。算数が得意な子、音楽が上手な子、自然科学の知識が豊富な子、そんな色々な可能性を秘めた子供達がお互いをサポートしながら学習して、先生はその交通整理役として存在するような教育現場は実際不可能なのでしょうか?

おそらくそのようなスキルが育たないまま社会人になった若い社員が巷に溢れかえっているため、何らかのプロジェクトをスタッフ同士が協力し合って成し遂げることなどは非常にヘタクソになってしまっている昨今なのだろうとお察しいたします。

農耕民族のDNAが受け継がれている我々は、そのような共同作業こそが十八番であるはずだったのだと思うのですが・・・。

 

今年も例の「サラリーマン川柳」、身にしみましたね〜。

「円満は 見ざる言わざる 逆らわず」(号泣)

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