理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.010

『本当にうつ病?』

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西日本の梅雨入りは記録的に早かったのですが、東日本の梅雨入りは例年よりも遅れているようです。本当にやるのなら今回のコラムを含めてあと3回私は開催前に呟けますけど、果たしてウイルスだけでなく水不足にも悩まされるオリンピックになってしまうかも。こんな感染状況下で開催されようとするオリンピックに対して、なぜWHOは、テドロス事務局長は、突っ込んでコメントをしてこないのでしょうか?この人達もIOCに忖度ですか?

先日実施された党首討論とは一体何だったのでしょう。例えて言えば相手から「これから先の献立の中に危険な食材が紛れ込んでしまいそうなのですが本当に食べても大丈夫なのですか?」と問われて、返した答えが「私が高校時代に食べたあのカレーライスに入っていた肉の美味しさは一生忘れることができません。」と答えているような問答に椅子からずり落ちそうになってしまいました。

私にはあれはもう認知症の専門外来でもなかなかお目にかかることができないような診察風景としか思えませんでしたが、果たして皆さんはどうお感じになられましたでしょうか?我が国の党首討論なんてその場のガチンコ勝負なんて行っているとは思えず、いつもの国会答弁よろしく事前に官僚がある程度の想定問答を作成してそれを読んでいる、殆ど出来レースであろうとみておりましたしが・・・違いますかね?

あのやり取りの流れで唐突に前回の東京オリンピックの話をいきなりあんな風に盛り込むなんて、このお話を菅首相が自ら強烈にリクエストしていないのであるのなら、これはもう官僚側に首相の足を引っ張る意図がないとあのような的外れな文章は出てこないと思います。どうしても菅さんは前回の東京オリンピックの東洋の魔女の回転レシーブに感動したことを国民に伝えたかったのでしょうか?

閑話休題

そこで前回の宿題になります大坂なおみ選手のお話です。実は前回のコラムをアップした直後に、彼女側から「実は自分はうつ病でその病気と闘いながらテニスを続けてきた・・・」みたいな発言が突如後出しジャンケンのように出現しました。これによって“それはあまりにも一方的で、ちょ~っとわがままなんじゃないの?”的な記者会見キャンセルのお話が、世論的にも一瞬にしてバッシングから擁護側へとかなり風向きが変わってしまいました。

うつ病の話が出る前に、私が彼女のことで気にしていたのは彼女が試合中によくミスショットに激高してラケットを叩きつけたり、ぶん投げたりするしぐさをチョイチョイ見かけていたことでございます。彼女は自分以外の人や物事に対しての自身のメッセージを、どちらかといえば強烈にアピールをしていましたよね。(例えば全米オープンでは毎試合ごとに銃被害等に遭った黒人の名前を書いたマスクで登場するとか)

そんな他人の理不尽に思える痛みを自身のパフォーマンスに置き換えて必死に世間様にアピールする一方で、彼女を勝たせるために多くの人がかかわって作成されたであろう大切なラケットや、彼女が勝利することに思いを込めて一生懸命に、かつ繊細に職人さんが張ってくれたガットを何もためらうことなく瞬時にぶち壊す行動に何かambivalentな感じを抱いておりました。

そもそもうつ病という疾患は、症状に日内変動(基本的にはとにかく朝が辛くて、午後から夕方に向かって少し復調する)はあるものですが、全体を通してはある一定の期間はずっと気分が落ち込み、意欲が低下して、何もする気が起きない病気です。つまりトーナメント期間にうつ病を発症していたらとてもとても試合になんかに出られる状態ではないはずです。

そんな中で全米オープン、全豪オープンと連勝して乗り込んできた今回の全仏オープンでは、残念ながらうつ病になってしまっていたのか?先ほども言いましたが、うつ病であればいくら相手が格下とはいえ初戦を勝ちあがるなんてまず不可能なはずです。まあ可能性があるとして、丁度うつ状態になりかかってきていた・・・?そこを何とか1試合だけは乗り切ったとか(汗)。

確かにうつ病にもAgitated Depression(激越型うつ病)といって、意欲低下よりも不安や焦燥感の方が前面に表れて、一見うつ病には見えないタイプもありますが、それでも試合に出て試合の流れをまともにジャッジしながら冷静にプレーできるかといえば、それも不可能なお話でしょうから、ちょっとそれも先述のラケット破壊行為が疾病症状としてはあてはまりません。

つまり彼女はおそらくは“うつ病”ではない!!と私は思うのでございます。可能性はかなり低いと思いますが、あっても“躁うつ病”で、トーナメント期間は躁状態になってトーナメントが終わればうつ状態。まあそんなに都合よく病態が変化できるとは思えませんけど・・・。ですから私はここで彼女が嘘をついているとは言いませんけれど、本当のことは言えていない気がかなり致します。

確かにあれだけ世界中から注目をされて、期待を背負って試合に勝って行かねばならないストレスやプレッシャーは、一般人の我々には想像もつかない、正に筆舌に尽くし難いものであろうかと思います。並大抵のメンタルでは一瞬にして破綻してしまうものだろうかとも思うのですが、逆にそれに打ち勝てなければ世界のトップに君臨することも出来ないのではないでしょうか。

彼女の場合は数多のプレイヤーが到達したくてもすることが不可能な、ある意味ではその世界の頂点に上り詰めることが出来たわけですから(まあその地位にずっと居座り続けることはさらに困難を極めるのでしょうけど)、ある意味での強靭なメンタルの持ち主であることは間違いありません。当然このままは終わってほしくはありませんし、きっとまたコートに復帰して活躍してくれるものと信じています。

いつの時代にも、どの世の中にも、必要悪だったり持ちつ持たれつの関係だったりは決してなくなることはございませんので、そこを何とかうまいこと対応できる術を身に着けることも一流選手の証となる必要十分条件なのだと思います。とは言えプレイヤーにおける対マスコミとのありかたに関しては、今回の件で何らかの一石を投じたとは言えるのでしょうけど、まだまだ大勢には影響はなさそうな感じです。

 
直前になって有力選手の参加が極端に減って、最終的に『国体』に毛の生えた程度のオリンピックになり果てて、そんな中で日本選手が歴史的なメダルラッシュとなっても、菅さんや小池さんや招致委員会や三流マスコミは大成功と歓喜するのでしょうね・・・。

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