理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.234

春眠

kobayashiDR


昨年があまりにも早かったので、今年はすごく遅いような感じでいたら東京の桜も開花は例年より1日遅いだけとの事でした。先日、月に1回の定期診療をするべく博多に行ってきましたが、東京で効く点鼻薬がナントあちらでは効きませんでした。

おそらく花粉以外の何物かの仕業と疑っておりますが、黄砂やPM2.5の影響はかなりありそうな気がする春本番です。コラム読者の皆様方に於かれましては新年度のスタートは順調のようでございますか?

“春眠暁を覚えず”と申しますが、皆さんはしっかりと睡眠をとっていらっしゃいますでしょうか。先日厚生労働省から睡眠を健康的にとるための国の指針が11年ぶりに見直されたとの報告がありました。

それによりますと、10代前半までは8時間以上、25歳で7時間、45歳で6.5時間、65歳では6時間の睡眠で大丈夫となっております。つまり成人になってから睡眠時間は人生を20年重ねるごとに約30分減るという事なのです。

ところが実際に街中で60歳以上の方々にインタビューをしているニュース番組をたまたま観ていたら、「21時や22時には床に入って、もっとたくさんしっかり眠ります」と答えていらっしゃいました。するとどう考えても本人的には8~9時間は“睡眠”しているつもりのようなのです。

ところが実際には歳を重ねて行けばいくほど、深い睡眠(ノンレム睡眠)に入っていきにくくなることは医学的にはきちんと証明されております。だからといって長時間床に就いていれば良いかといえば、逆に寝付くまでに時間を必要以上にかけてしまったり、睡眠そのものの質を落としたりして熟眠感を得にくくなる結果につながりかねません。

また10代~20代では就寝前にPCやスマホを長時間使用することでモニターから発せられるブルーライトが入眠困難を引き起こすことも問題視されてきています。日頃より私は患者さんに診察室に於いて質問する3つのポイントとして、「食う」「寝る」「出す」を注意しております。

どんな生き物も食事(栄養補給)が出来なくなれば生きてはいけません。次に摂取したものをきちんと消化吸収して残りの残渣はきちんと排泄する必要があります。それとあとは全く休息なく働き続けることは不可能ですから当然睡眠は必要不可欠です。つまりこの3つは最低でもきちんと継続できていないと日常生活は営めないことになります。

そのうちの今回は「寝る」のお話をさせて頂いているのですが、実は「出す」ためにしっかりした睡眠が必要であることをご存知でしたでしょうか?我々が生きていくうえで自律神経という機能は非常に重要であり、その自律神経とは大雑把な言い方をすると車でいうアクセル(交感神経)とブレーキ(副交感神経)のような働きと思っていただくとわかりやすいかもしれません。

アクセル踏みっぱなしでは大事故につながりますし、ブレーキ踏みっぱなしではちっとも前進することは出来ません。つまりアクセルとブレーキのタイミング(バランス)がきちんとして、初めて安全運転が可能になるわけですよ。皆さんご存知のストレスはこの自律神経系のアンバランスを引き起こしてしまい、体調不良の原因にもなる事は身をもって感じている方も多いと思います。

実は睡眠中はその副交感神経が交感神経よりも優位に働いており、その時に腸内における腸液分泌が盛んになったり、蠕動運動が亢進したりすることで消化吸収を助けています。ですから睡眠が不足したり質が低下したりすることで、消化不良、栄養の吸収の低下などが起こり便秘や肌荒れになりやすくなるため、「出す」ためにも「寝る」は重要な事がご理解頂けるでしょう。

あとはこのコラムでも何度かお話をしました睡眠時無呼吸症候群(SAS)も、日中に急激な眠気に襲われるような方には要注意の疾患です。先日も私の外来で軽度のSASと診断されて就寝中に使用するマウスピースを制作させられて半信半疑で使ってみたところ、翌日日中の眠気が嘘のように消失した!と驚いている患者さんもいらっしゃいました。

つまるところ睡眠と覚醒には一定したリズムが非常に重要となります。従いまして“週末の寝だめ”なんて出来るものではありませんので、休日も平日と同じような起床~就寝を出来るだけ心掛けてください。高血圧といった身体疾患にも睡眠は影響致しますから、質のいい睡眠を必要な時間だけキチンととれるような新年度をスタートさせましょう!!

 
 

なんてことを言いながら、私の日常生活に於いては“夢の中でだけ妄想を膨らませる事が可能”でして、この時こそが至福なのであります・・・(泣)。

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