理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.032

『縊死』

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制限なしとなった3年ぶりのGWは予想通り全国の観光地は大勢の人で賑わっておりました。そしてこれも不安視されていた通りに新型コロナの感染症患者もGW前よりは増加傾向を示してきています。最北端と最南端の観光地(北海道と沖縄ですね)は、毎度のことのように増加数も顕著となっております。

そこでこれがこのまま今年の1月~2月のようなことになるかと言えば、その可能性は低いと私は予想しております。でも結果的にどう転ぼうとも現政府としては、新型コロナの扱いを2類から5類にすることは絶対にないとも予想しています。だって安易に5類にして再び緊急事態宣言を発するようなことになったら、世論やマスコミからの政権批判は必至ですから選挙にも影響出ますよね。とにかく参議院議員選挙が終わるまでは岸田首相は相変わらず“聞くだけ”で何もしないと思います。

前回のコラムで私の若かりし頃に愛聴していたミュージシャンの訃報について触れました。そうしたところでここ最近立て続けに芸能界でご活躍の方々の訃報が相次いでおります。渡辺裕之さんに上島竜兵さんでした。上島さんは直接の面識はありませんが、渡辺さんは以前に私が暫く続けさせていただいた某週刊誌の対談インタビュー記事(2017年9月7日号)にご出演頂いておりまして、これがご縁でFBなども繋がっていたりしたので、正に青天の霹靂のような衝撃を受けたのであります。

インタビューでは毎日ゴルフの練習はされて、“90歳になっても70台でラウンドすること”が目標と仰ってましたし、自宅には本格的なトレーニングルームを設置されてかなりストイックに自身の体を追い込んでおられるようでした。また一方で毎朝スロージョギングしながら落ちているゴミを拾って町内の清掃活動もされていると、聞いているだけでも爪の垢を煎じて飲ませて頂かないと・・・、と思わせるようなお話ばかりでした。

訃報に際して奥様のコメントには、「最近抑うつ的になる状態が続いていて、やっと専門的な外来にて治療を開始して少し改善の兆しも見え始めて・・・」といったニュアンスの表現がされていたように思います。場末の一精神科医としましてはそこのところに反応をしてしまったのであります。

先述の渡辺さんの日々の生活から、彼は非常に几帳面で真面目な方であることはしっかりとうかがえます。そしてそのような性格の方が病前性格としてうつ病に罹患しやすいと言えることが1つ。そしてうつ病の診断が間違っていなければ、治療の過程において改善し始めた時が最も自殺の注意をしていなければならないという点であります。

うつ病は自身の状態が最悪最低の時には、自殺をする気にもならず、その気になったとしても実行に移す気力も出ないものなのです。ところが改善し始めると元来真面目で几帳面な性格から、最悪の状態のときに出来なかったことを気にして何とかカバーしようとやり始めるのですが、まだ100%本来の自分には戻っていないため以前にやれていたことが出来ない自分に直面するとそこで再び抑うつ的になり、その時は少し行動力が戻っていますから自殺企図に至ってしまうわけです。

また悲報の文章に『縊死』とい言葉が入っていたことにびっくりしたのでございます。一般の方はあまりこの言葉を日常的に使われることはないと思います。私がこの言葉を認識したのは医学生の法医学の授業で初めて知ることとなりました。

縊死(いし)とは 紐(ひも)などの類(索条)を頸(くび)の周りに巻くか、またはかけ、その端を他の物体に固定して体を懸垂し、自己の体重を利用して頸部を圧迫し死亡すること。

となっておりまして、細かいことを言いますと身体が完全に宙に浮いて全体重が索状物にかかった状態を『定型縊死』、それ以外の状態を『非定型縊死』というのです。よくドアノブに索状物が掛かった状態で発見されるような報道があったりしますが、頸部を圧迫して脳に行く血流を遮断するのには20㎏~30㎏程度の負荷があれば完遂することは可能でして、成人であればドアノブなどを利用した非定型縊死は十分起こりえるものなのです。

ですから、“死人に口なし”で最後のところは誰にもわかりませんが、本当に死にたいと思っていなくて、でも何となくこんな感じで…、と思ってまねのようなことをしていたら本当に自殺に至ってしまったケースというのも決して少なくはないのではないかと思われます。

とにもかくにも、そのような結末で人生の幕引きをしてしまう事は自身にとっても、そして残された家族や親族、友人、知人にとっても辛く悲しいことであります。また精神科医にとって自分が担当している患者さんにそのようなことが起こってしまう事は、診療に携わる身において最も辛くて後から様々な後悔のような思いに晒されてしまう一番避けたいことでもあります。

アンチエイジング医療と称して現在日々診療を行ってはいるものの、患者さんにはどこかのタイミングで「不老不死はあり得ませんから・・・」と言っていたりもして、この世に生を受けて誕生したときに銀のスプーンを持っていようがいまいが、同時に全ての人に平等に与えられるものとして、いつかは必ず死を迎えるという事があります。

現在のウクライナには今すぐにでもあのプーチンを殺してしまいたいと思っている人も沢山いるのではないかと思いますが、どのような結末であれあの人にも必ず死は訪れます。他人の命を奪い取る戦争なんてもってのほかですが、自分の命なのだから、自分で好き勝手にしても構わないとは思いませんし、どうかお願いですからそのような決断に至らないで欲しいと願う2022年の入梅前でありました。

 

 

渡辺さんは3・11の震災の時から、「いざというときに家族を守るのは自分だから、それ以来何かあっても大丈夫なように玄関に近いソファーで夜は寝るようにしています」と仰ってましたが、ただリビングのソファーでうたた寝をして、気が付くと家族は各自の寝室で寝静まっている私とは違う方でした・・・(泣)。

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