理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.298

キュレーション

小林一広いよいよ今年も最後のコラムとなりました!流行語大賞の予想はまずまずでしたが、まさか「・・・日本死ね!」が入るとは、しかも地球何周分のガソリンプリペイカード購入の説明責任を果たしていないあの国会議員が受賞にぬけぬけと出て来るとは・・・。

“マイナス金利”と“盛り土”は的中させましたが、さすがに受賞式には黒田日銀総裁も東京卸売市場長も登場しませんでしたね。あとは“ゲス不倫”は当人ではなくこちらに文春さんがやって来て、大賞の“神ってる”は発言者の監督ではなく対象者が授賞式に出席と、受賞者に於いては微妙な部分で外してしまった2016年でございました。

そんな年の瀬もいよいよ押し迫ったところでございますが、コラム読者の皆様方は例年以上に大流行しているノロやインフルエンザといったウイルスをもろともせずご清祥に2016年を締めくくろうとされておられることと存じます。

そこで今年の最後のコラムをアップするにあたり今回はどのような内容で行こうか迷っておりましたが、やはりこれに触れないわけにはいかなかったので、今回は『curation(キュレーション)』でございます。

先日来マスコミを賑わせておりますこの言葉ですが、IT用語といたしましては「インターネット上の情報を収集してまとめる。そしてそれらを独自に編集し提供をするサイト」の事だそうであります。

そもそもは『curator(キュレーター)』という博物館や美術館などでその専門知識を有し研究・収集・展示・保存などの業務を管理監督する専門職、管理職の人の事が語源になっているようです。ところが上記のキュレーションとなりますと、その専門でも何でもない人たちが収集した情報を、無責任にまとめて編集したものをあたかも新たな情報として発信するものですから真偽のほどは全く持って怪しい情報が蔓延してしまうことになるわけです。

まあ言っても芸能ゴシップネタ程度であればそれこそ話半分で笑って流せるかもしれませんが、今回大騒ぎとなったDeNAという会社が運営していた「WELQ」なるサイトは健康・医療に関する情報を発信するものであったそうです。医学的な内容ともなると場合によっては人の生死にも影響を及ぼしかねない可能性もあるわけで、その情報の信憑性は非常に大切なものであるはずです。

私も一応医者の端くれであり、このように月に2回コラムと称して好き勝手なことを世間様に訴えておりますが、たまに発する医療ネタに関しては自分の意見はもとより、その情報の出どころにはかなりの神経を使ってここに書き連ねているつもりでございます。

昨今何かわからないことがあればスマホを片手に「ググってみたら?」と検索サイトに頼る風潮はかなりの勢いで世の中を席巻しております。そして御親切にその問いにスマホが言葉で答えてくれるのは、確かに便利で有難いことではありますが、そこには当然その情報が正確なものであることが必要十分条件であります。

では今回なぜこのようなことになってしまったかを検証しますと、情報の発信側がいかに予算を使わずこのようなサイトを運営するかに必死になった結果がこのような事態を引き起こしたと言えるのではないでしょうか。

医療の情報の研究・収集・展示・保存などの業務を責任もって管理する専門職、つまり「医療情報のキュレーター」と言えるような人は確かに存在しています。ただそのような人達を使ってこのようなサイトを運営するとなるとかなりの予算(人件費)と時間を必要としますよね。

そこでこのサイトを立ち上げた人たちは今の時代、このインターネット上で溢れかえった情報を適当につなぎ合わせてコピペすれば新たな情報発信なんてどうにでもなるくらいにしか思っていなかったのでしょう。

私にはそこに“いかに楽をして儲けるか”が彼らのビジネスの根底にあるように思えて仕方がありません。分からない事があったら「辞書を引け」と「インターネットで検索しろ」はやはり似て非なるものであるとこのオッサン世代は感じてしまうのですが、若人達はどのように感じているのでしょうか?

囲碁も将棋もAIに勝てなくなりつつある現状に於いて、そのうちそこに示されている情報の真偽さえもそのAIが取捨選択してくれるようになれば、如何わしい情報に振り回され、惑わされることも無くなるのでしょうが、今のところはそこまでのサービスはこのパソコンでは不可能であります。

交通網、連絡網、情報網、これらが便利になればなる程、時間は節約できて余暇が生まれるはずなのに、仕事は少しも減ることなく、勤務時間は短くならず、「残業をしないように!」と会社はうそぶいても労働環境は少しも改善されないこの国の行く末は果たしてどこに向かって行くのでしょうか。

来る2017年が皆様にとって実り多く、より安全で、より健やかな毎日が送れるようになることを切に願う2016年の暮れであります。どうぞ皆さま良い年をお迎えください。

 

 

私の2017年の願いは、相変わらずの世界平和よりも何よりも家庭平和が続いてキュレ~~~~ション、であります(苦笑)

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